多頭飼育崩壊の現状
『多頭飼育崩壊』とは、飼い主が『適正飼育』できる数を超えた結果、経済的にも破綻し、ペットの飼育ができなくなる状況のことです。(『適正飼育』は、十分な食事と十分な生活空間が与えられ、糞尿の始末、健康維持など衛生上安全に生活が送れるような飼育のことです。)
『多頭飼育崩壊』の猫たちは、飼い主から引き取り希望と相談があり、収容数・殺処分数に加わることが近年増えてきているのです。
2/
動物取扱業者(ブリーダー・カフェなど)によるもの
ビジネスとして動物を繁殖させたり飼育したりしている業者が、経営難や業者の高齢化によって、適生飼育できていない状態になってしまいます。
3/
保護団体によるもの
保護活動をしている団体や個人ボランティアには、周囲から飼えなくなった動物や飼い主のいない動物を押し付けられるなどが多くあります。
動物が好きだからこそ保護活動を行なっているものの、依頼や相談が多く、譲渡が追いつかないことで、適正飼育頭数を超えてしまうケースが多くあります。
多頭飼育崩壊の原因
1/
一般の飼い主(アニマルホーダー)
によるもの
動物が好きで、飼い主のいない動物をどんどん保護してしまい、お世話が出来ない状態になってしまいます。
また、最初の数頭の時点で避妊去勢手術を受けさせなかったことで、繁殖を繰り返してしまい、頭数が増え飼育困難な状態になっている場合が多くあります。
『アニマルホーダー』とは、依存症や収集癖などの精神疾患の一種です。適正に飼育できていない状態で、その状況を理解していても、手放すことができない精神状態なのです。
かごねこは
このような多頭飼育崩壊
へのサポートをしています。
なぜ一般飼い主(アニマルホーダー)による
多頭飼育崩壊が増えているのか
はじめは、猫好きからスタートしていたり、猫を保護もしくは購入したが、知識がなかったことからスタートしていたりがほとんどです。その中で、下記のような問題が加わってより深刻な多頭飼育崩壊になっていきます。
01/
避妊去勢手術の必要性を知らなかった
オスとメスを飼うにあたって、『避妊去勢手術』が必要だということが知らなかったり、イメージできなかったりするケースです。繁殖していくこと、繁殖するスピードなどを理解しておらず、あっという間に増えてしまって、手に負えなくなるのです。
『親子、もしくは、兄妹同士で交配したり、妊娠したりすることなどないと思っていた』というケースも多くあります。
02/
避妊去勢手術の費用やフード・トイレなどの購入代金がつくれない
避妊去勢手術の費用の相場は、1万〜3万前後です。飼い始めた人の避妊去勢手術を怠ったことで、繁殖し、頭数が増えてしまった状態では、さらなる避妊去勢手術の費用が必要となります。
費用を捻出しようとしても増え続ける猫の数により日常必要となるフードやトイレなどにかかる費用が莫大となってしまって、避妊去勢手術を受けさせることもできず、最終的にフードすらも買えなくなってしまいます。
03/
高齢者にとって、ご飯をあげることが生きがいになっている
高齢化が進んでいる中で、過疎化の問題があります。
高齢者がご夫婦もしくは一人で生活されている中で、動物と接することが生きがいになっているケースがあります。話し相手がおらず、唯一遊びに来てくれる猫が友達だったと言われるケースも多くあります。遊びにきてくれて、癒してくれる飼い主のいない猫へご飯をあげたことがきっかけとなり、次から次へと猫が迷い込んできたり、繁殖したりしてしまうのです。
また、元気なうちは、適生飼育できていた場合でも、怪我や病気などによりお世話が難しくなったり、施設に入ったり子供さんの家に転居されたりすることで猫たちだけ置いてけぼりになることもあります。
多頭飼育崩壊はどのように発覚するか
たいていは、近隣からの苦情から発覚します。室内で飼っていた場合でも、頭数の多さから、糞尿の悪臭が外へ漏れ出し、近隣が気づくこととなります。また、ほとんどが避妊去勢手術していないことから、発情による鳴き声、喧嘩による鳴き声などによっても、近隣が気づくこともあります。
主な発覚の流れ
-
本人(高齢者の場合は家族や周囲の人)が状況を受け止め、行政や保護団体に問い合わせる
-
高齢者による多頭飼育崩壊の場合は、ケアマネージャーや病院関係者、里帰りした家族などによって発覚
-
近隣からの苦情により、行政が訪問
多頭飼育崩壊のレスキューの流れ
行政が飼い主に対して避妊去勢手術や適正飼育について指導したり、譲渡の話し合いを行います。
しかし、やはり費用面の問題で難航することも多く、実質は保護団体などと相談しながら進めていきます。
飼い主さんへは適正飼育について指導が行われ、長期に渡って経過をみるようになっています。
多頭飼育崩壊の猫たちの実態
適性飼育ではない状況なので、健康状態がよくない場合が多いです。
過酷な状況のため猫の状態がよくない
-
ごはんが足りず、ガリガリに痩せている
-
痩せていることで免疫力がなく、風邪など病気にかかってしまっている
-
近親交配(親子や兄妹による交配)によって生まれつきの病気(先天性疾患)をもっている
-
トイレの管理もできていないので、糞尿まみれになっている
-
ノミ・ダニが大量発生している
-
餓死することもある
-
食べ物がたりないため生まれたばかりの子猫を、他の猫たちが共食いしてしまう
病気以外の問題
-
頭数が多いため、すべての猫たちに平等に愛情を与えることができておらず、飼い主に慣れていなかったり、怖がりな猫も多い
-
触ったり抱っこしたりすることができない場合、避妊去勢手術を受けさせるにしても、捕獲器が必要になる
-
天井裏や押入れに入ってしまって出てこず、そこで出産しており、把握できていない猫もいる
-
譲渡するにも、人慣れさせてからになるので、時間がかかる可能性が高い
現状の対策として
鹿児島市の条例で、10頭以上の猫を飼育する場合には市役所への届け出が必要です。今後も各自治体で多頭飼育崩壊への対策が取られていくことになることが予想されます。
かごねこにできること
まずは避妊去勢手術をして
数の安定化から
かごねこは、「ル・オーナ ペットクリニック」のメンバーで運営していますが、保護施設などを持っているわけではありません。ル・オーナでは、今の頭数以上にならないように、避妊去勢手術をしていくお手伝い(TNR活動・地域猫活動)や病気の子たちの治療をしています。
通常の地域で殺処分の危機にある猫を捕まえてのTNRでも費用が発生していますが、多頭飼育崩壊の場合、頭数が多く、避妊去勢手術の費用や治療費も莫大になります。
現場に直面する当事者として
わたしたちは現場に直面する当事者として、必要な避妊去勢手術の費用やフード・トイレなど消耗品のサポートがもっと必要なことを伝え、その受け皿となるため「かごねこ」としてサイトやSNSを運用し寄付やサポートを募っています。
寄付やサポートは避妊去勢手術費用の負担を出来るだけ減らし、飢餓やトイレ問題など厳しい環境にいる猫たちを助けられるように、行政や保護団体などと協力しながら、改善策・救済に使います。
ご支援のお願い
あなたの支援が必要です
かごねこでは、私達の活動に賛同し支援や寄付を希望される方への窓口を設けています。援助や寄付の内容をきちんとお知らせし、次の援助につなげることを目指して運営しています。
このかごしまの中で、人と猫が幸せに暮らせる社会をめざすために力を貸してください。
かごねこで販売するグッズ制作の
サポートもご検討ください
わたしたちの取り組みを知った企業や事業者の方から、「かごねこ」のオンラインショップで販売するグッズ制作のご協力をいただいております。
「かごねこ」は、ペットクリニックの運営、TNR活動・地域猫活動と並行している取り組みなので、グッズ制作サポートのお声掛けは大変ありがたいです。グッズ制作を通して、「かごねこ」の取り組みへのご協力をいただける事業者の方からのお問い合わせもお待ちしております。 事例・実績など
大人気のあごだしふりかけも
事業者さんのサポートで作られています